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同学年の綱吉とリボーン、話したこともない。でも実はちっちゃい頃会ってる。

ツナはリボーンの名前しか知らないが、リボーンは覚えていてしかも(都合よく)ツナに惚れている。

実は沢田家の遠い親戚なリボーンは適当な事情により一緒に住むことに。

 

 

 

 

 

 

綱吉は緊張していた。

生まれて初めて、告白をしようと決意したのだ。相手は、同じクラスの女の子。

大人しいタイプだが笑うと可愛くて、透き通った白い肌に惹かれた。儚い、妖精みたいな可憐な子だった。

勇気を出して呼び出した、放課後の体育館裏。

きっぱりフラれ、綱吉は泣きそうになりながら理由を聞くと。

彼女は言った。

「退屈そーだから」

意外と強かさを伺わせた少女に、綱吉は呆然とした。

後ろ手に持っていた小さな花が、パサリと落ちた。

 

 

 

 

自分の代名詞は『ダメツナ』。そして、『とりえのない男』。平凡な容姿はどうみても存在感薄く、目立たない。

本人は幼少時代のトラウマをいつまでも引き摺っていて、かなりのコンプレックスになっている。

男心は繊細なもんだ、いつだって。

そんな地味で自虐的な綱吉は、廊下の向こう側に居るいわゆる『学校のアイドル』的な存在を遠巻きに見詰める一般人。

中学に入ってからずっと憧れている笹川京子にも、声をかけることなく毎日を静かにやり過ごしている。

いいんだ、オレは京子ちゃんを遠くから見れるだけで幸せ。

可も無く不可もなく。満足感のゲージは無難なところで。

綱吉はぐだぐだと薄笑いを浮かべる。

 

そんな彼の生活が、百八十度変わることになる。

 

 

「ただいまー」

「遅い、何時だと思ってんだ」

普通に声をかけてきた男を見て、綱吉は瞬時に固まった。

玄関に仁王立ちになり腕を組んでいる美少年は、記憶によれば校内一の有名人だ。当然しゃべったこともないし、面識もない。

「あ、あん、た」

「部活入ってねーくせにブラブラほっつき歩いてんじゃねーぞ」

風呂出来てるから入って来い。

言い捨て、リボーンはスタスタと二階へ上がっていった。綱吉の部屋。意味がわからん。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゆめ?」

暫く玄関で固まっていた綱吉だったが、冷える空気に覚醒した。

疲れてんだオレ。風呂入ろう。

目を擦りながら、風呂場へ向かった。

 

 

ガラリ。

スラリとした肢体を隠す事無く、肩にタオルを掛けオープンスタイルで堂々と入ってきたリボーンを見て、綱吉は顔面蒼白で叫んだ。

「だあああああああ、あ!!?ちょ、っと、何で、居んの!?」

「さっきも居ただろ」

「夢じゃなかったんだ・・・・・!おい、てか、入ってくんなー!か、母さあんん助けて!!」

「奈々は今日遅くなるそうだ、友達とコンサート行くっつってた」

「人の母親呼び捨てにすんな!アンタ、さっきからなんなの!」

無視してリボーンは浴槽へ入ってきた。既に綱吉入りの。

「ヒィ!」

「ゆっくり浸かれ、健康にいいからな」

おっさんくさい事を言いながら、慌てて出ようとした綱吉の肩を掴みそのまま引き寄せる。綱吉は勢いよくお湯の中に倒れた。

「ブゴハッッ!!げほ、」

「テメーちゃんと食ってんのか」

同学年にしては低く深い声が耳元で聞こえ、背筋がぞくりと粟立つ。

いつの間にか腰に腕が回っていて、とてつもなく嫌な予感がした。

「肉が薄いな」

つ、と指が首筋を辿る。びくりと震えると、笑った気配がした。

「こことか」

鎖骨を伝い、そのまま下に下りたとき、本気でまずいと思った。

「、やめ、」

か細い声が浴室に響く。その頼りなさに、全身がカッと熱くなった。情けない、男だろオレ。

腰に回っていた手がいきなり内腿に触れ、足が引き攣る。

――――ダメだ!

本能が『ヤバイ』と告げている。

本格的に逃げることを決意した綱吉に先手を打つかのように、再び腰をホールドし口を左手で押さえたリボーンは、耳元で甘く囁いた。

「心配するな。大人の階段上るだけだから」

(なんだそりゃ――――ァァア!!!)

渾身の突っ込みはフガフガと変換され、夕方の浴室に水音が響いた。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

「いい湯だったな」

信じられない。夢か、現か。頬を抓ろうとして右腕を動かそうとすると、全身を鈍い痛みが襲った。思わず顔を顰める。

齢十三にして男に掘られてしまった。しかも同級生。有名人。学校の超人気者。こいつ、ホモだったの?

尻から滴りタイルに落ちた血を見て倒れなかった自分を褒めてやりたい。

てゆうか思い出すだけでへこむどころじゃなく沈む。

終盤の辺りで浴室に響いた己の声その他諸々は、小学校の時フラれた事件をブッちぎって一番のトラウマ確定となった。

台所でのんびりビールを飲んでいる未成年は何事もないように振舞っていて、綱吉はそれがとてつもなくムカついた。

「・・・・・・・・・・・・・・おい」

「何だ」

「何回か聞いたと思うんだけど、何で家に居んの。てか、オレ達初対面だよね」

睨む綱吉に、リボーンはニヤリとあくどい笑いを返した。

「沢田綱吉、通称ダメツナ。1年A組、成績中の下から低迷中。友達なし、好きな女は笹川京子、でも声をかけたことも無いヘタレ。

特技なし、趣味はひたすら家でゲーム」

スラスラと言葉を並び立てられ、綱吉は呆気に取られた。

「な、な、な、」

「今日からこの家に住むことになったリボーンだ。よろしくな」

「はあああああああ!!!???」

「よろしくな」

「イダダダダダごめんなさいよろしくお願いします!!」

ハッと気付いたときには、己のこめかみに拳を当てたままニヤリと笑ったリボーンが見下ろしていた。

 

いや、有り得ねーだろ。