日本国。のとある町、並盛。の中の、並盛中。の、屋上。
時は昼休み。
「ツナー、起きろって、風邪ひくぞーぃ」
「十代目ー、お休みになられるんだったら保健室占領してきましょうかー?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぐー・・・・・」
「だめだこりゃ」
「起きねぇな」
「そっとしとくか?」
「昼メシ食べられてねぇよ」
「うーんでもなんか起こすのも忍びないとゆうか」
「確かに…」
綱吉は、昨日諸事情で寝れなかった。
突然の襲撃で、夜通し逃げ回り、明け方ようやくリボーンが死ぬ気弾を撃ってくれて(死ぬ気弾を撃たれてあんなに感謝したのは初めてだ、と
後に綱吉は語った)敵を撃退できた。
ようやく寝れると思ったら、時間はいつもの起床時間をとっくに周っており、「サボったら意図的に今夜も敵の襲撃がくるよう情報をリークすんぞ」と
リボーンに脅され、目の下に隈をつくりながら頑張って登校し、さらに頑張って授業を受けた。
当てられたり、それに気付かず教師をプチ切れさせ、それに獄寺が切れる、といったハプニングもあったが、まあいつものことだし、適当に答えた
解答はその日は偶然当たった(たぶん無意識にブラッド・オブ・ボンゴレの血が威力を発揮したのかな使い方間違ってるけどねアハハハハーと
後に綱吉は語った)。
だが、もう限界は近づいていた。
屋上に上がってさあゴハンだ昼飯だと座り込んだ瞬間、綱吉は意識を失った。宇宙のどっかの穴に落っことした。
そんで20分経過。
「うーん…こりゃどうしようもねえな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・十代目・・・・・・・・・・御労しい・・・・・・・・・」
二人は、昼飯を食べながら、取り留めのない会話をしながら、ずっっっっっと沢田綱吉だけを見ていた。
初めて蛇の抜け殻を見つけた近所のガキ大将みたいな目で。要は、キラキラしたおめめで。
「・・・・・・・・・なんっか、見てて飽きねえな、ツナの寝顔って」
「十代目は寝顔も寝息も渋いんだよこのヤロウ」
釘付けだ。突っ込む人も誰もいないので、ノンストップである。
ふと、山本が言い出した。
「寝ながら食事って、出来るんじゃね?」
「は、オマエ何いってんだ」
「や、睡眠学習ってあるだろ。あんな要領でさー」
こうやって、口元に食い物持ってってさー、食べねえかなー、なんて言いながら、山本がちぎったパンを綱吉の口に移動させた。
パンをくっつけた。
くっつけた。
・・・・・・・・・くっつけた。
「・・・・・・・・・・・・うーん、食べないなー・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・ちょ、貸してみ」
獄寺によって再チャレンジされた。
獄寺は少しためらいながら、ゆっくり、綱吉の口元にパンをくっつけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・惜しいなー・・・・・・・・」
「いや、惜しいのか?」
「気持ち的にな」
「どーしよう」
「まあ、寝かしといて、もうちょいしたら起こそうぜ」
「そーだな」
「っ、獄寺!」
「・・・・・?・・・!!」
二人の視線は一気に綱吉の口元に注がれた。
わずかながら、綱吉は口を動かしている。
もむ、と唇がパンを啄んだ。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・やったー!!!!」」(小声)
初めて母乳を飲んだ我が子を見守るかのような感激を、二人は味わっていた。
そうこうしてるうちに、もむ、もむ、と、綱吉はパンを啄んでいる。
が。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・飲みこまねえな」
「口に入ったままだな」
綱吉の口は動かなくなった。どんなにパンを押し付けても、もう反応しない。
ああ、俺ら、何やってんだろ。ふと、山本は思った。
目の前の忠犬ハチ公野郎は、真剣に綱吉とパンを見つめている。
蛇の抜け殻、そして乳児野郎は、とっくの昔に意識放棄だ。
綱吉の口元をじっと見詰めていると、パンくずがついていた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・舐めてえ」」
ばっ、っと二人、顔を見合わせた。
え、ちょ、お前、今何言った??いやいやテメエこそなに爆弾発言かましてくれたんだよ果たすぞこのやろー、いや俺らおかしいだろしかも
何かハモったよね今、みたいな会話を視線で交わしながら、二人は必死で零れた言葉を否定していた。
お互いに対し、また、自分自身に対し。
綱吉は起きない。
どこかで風紀委員の一日校歌合唱練習の声が響いていた。
ついでに予鈴も響いていた。