オイルの切れた機械のようにぎこちない空気を感じながら、夜も更けた頃。
部屋に入ってきたリボーンに、綱吉は一瞬意識を失った。
「おい、気絶すんじゃねえ」
「………………はッ!?」
リボーンはさらに爆弾を投下した。
「寝るぞ」
「…………………………………寝れば?」
「………………………………………………いっしょに、」
「………………………………………………………………………………」
一気に脂汗が出てきた。いや、冷や汗だろうか。
何でこんな、「あれっちょっとやばいんじゃね?」な心境になってるんだオレ。いや嫌いとかじゃない、むしろコイツと一緒にね、ね、ねね寝る………のは別に時々あることだからなにもこんなに焦る必要は無い。無いよな。無いんだよな。ていうか何だ、このぎこちない空気。そして妙にくすぐったい痒い感じな空気。緊張?してるっての?オレが?コイツに?………………いやいやいや、まさかそんな。何で今更。らしくねえだろ。でも何かこう、そう、逃げたい。全力で逃げたい。こんなの久しぶり……でも無い気もするけど明らかに種類が違う。今こいつと同じ布団に入ろうもんなら絶対寝れやしねえぞオレ。どうしようオレ。こうなりゃ、あのクソオヤジの寝室に逃げ込んで………いや、鍵なかったなあの部屋。
「………………おい、全部口に出してるぞ」
「………………………………あ」
しまった。
綱吉は固まった。リボーンはフーッと溜息を吐いて、ぼそっと呟く。
「何意識してんだ」
「い、いいい意識なんて………してねえ!」
「説得力ねーな」
傷つくんだけど、とちょっとだけ寂しげに言われたような気がして、綱吉の心臓がきしりと音を立てた。
どうしよう、酷いこと言ったかもしれない。
「………あの、り」
「まーいっか。どうせそのうち突っ込むんだしな」
「………………………………ん?」
「いやこっちの話だ。さー寝るぞもう俺は眠たくてしょうがないんだぞ」
「え、ちょっとおおっ!?」
ボスンと音を立て、視界が一気に回る。
「ちょ、っと、お前…………」
「聞こえねー」
「なんかオレ心臓の音が尋常じゃないんだけど、早死にすんじゃねえのってくらいヤバイんだけど」
「気にするな、俺もだ」
「とりあえず、抱えるのをやめて………」
「めんどくせー、腕が重くて動かせねえ」
「いやいや!無理あるから!」
布団の中の温度が熱く感じるのは絶対に気のせいじゃない。
耳に息が掛かるのがなんていうか無性に叫びたくなるんだけどどうすればいいんだろう。ていうかもうちょっと離れて。
「おやすみ」
耳元に低い声が落ちて、綱吉は顔をくしゃりとゆがめた。
どうしよう、
なんか、泣きそう。
綱吉はぎゅっと、リボーンの腕を握った。
傍の呼吸が止まったが、お構い無しに手の力を少し強めた。
言い表せないほどの切なさは、いつか、底の無い幸せに変わるのだろうか。
考えても、わかるわけが無かった。