完全に、油断していた。

 

暗闇で全く見えないけれど、それが雲雀だということはわかった。勘だ。

「…………」

「…………」

どちらとも無言で、しかし、綱吉は雲雀の行為にちょっぴり理不尽さを感じて憤ったため、抵抗を試みていた。

だが一見華奢に見える体は思ったよりもがっちりとしていて(そりゃそうだ、あんなに強いんだから)ちょっとやそっとじゃ動きそうにもない。

ていうか、夜這いをかけるくらいなら堂々と言ってほしかった。その方が多少心構えは出来るというのに。受け入れるかは別として。

肩を押さえる手が、熱を伝える。頬に指先が触れて、綱吉は僅かに揺れた。

(やばい)

絆される。

「………ひばりさん」

制するつもりだった声は掠れていて、それが一層雲雀の衝動を突き動かすことを綱吉は知らない。

だから、首筋に伸びる手の動きに遠慮が無いと気付き青褪めた。

本気で犯そうとしている。

「ちょっ、と、まって」

「…………嫌だね」

だって、と呟いてその先は隠し、雲雀はそのまま、鎖骨に手を滑らせた。

「うあ」

「………………」

「ひばりさん………!」

「参ったなあ」

弱気な声。こんな彼は、初めてだ。

思わず瞠目した綱吉の唇のすぐ傍で、雲雀は息を漏らした。

「溺れそうだ」

「……………!」

そんな自分が少しだけ悔しいのだろう。彼は孤高の人だから。

それでも綱吉は体中を駆け巡った歓喜に動かされるまま、不安も憤りも二人のこれからの暗雲ですら吹き飛ばしてしまうほどの勢いで雲雀に抱きつき、囁いた。

この人が好きだ。

一人の男として、一人の人間として、この人を愛したいと思った。

「好きにしてください。オレはもう、あんたのモノだ」

「…………本気か」

「はい、だから、オレにもください。雲雀さんを」

途端に浴衣を剥ぎ取られ、荒々しく咥内を蹂躙され、くぐもった自分の声を聞きながら、綱吉はどうしようもない幸せと情動に貫かれて圧し掛かる身体を抱き返した。

段々と荒くなる息はもう誰のものかもわからない。

目尻に零れる涙を舐め取られ、綱吉は雲雀のさらりと揺れる髪を梳いて、お返しのように与えられる刺激のような快楽に悲鳴をあげて、この男に一生ついていこうとこの夜に決めたのだった。