乾いた風が、顔を叩いた。

砂っぽさに辟易していたが、もうどうでもよい。

綱吉は、軽く咳をした。

 

「大丈夫ですか」

隣の人物が声をかけてきたが、答えない。

どうせ相手も答えなんて望んでいないのを知っているからだ。

 

「よく来てくれたよね」

自分の声に潜む皮肉を隠すこともなく、吐き出した。

「恩をつくるのも、大事ですから」

「骸さんってさあ」

綱吉は呆れたように呟いた。

「本当に嫌いだよね」

「そうですね」

 

 

風は止まない。

夕方までには終わるだろうか。

こんな時に幹部は散っている。

(せめて獄寺くんは居て欲しかったな)

骸と居ると、彼の存在の有り難味が浮き彫りにされる、と思った。

どちらに対しても失礼な物言いではあったが。

 

 

「早く帰りてーなあ・・・」

「終わったら」

骸の声が、硬いように思えた。綱吉は隣を見た。

「伝えたいことが、あるんです」

「・・・・・珍しいですね」

「いい加減、疲れたんです」

 

どういう意味だろうか。

 

「骸さん」

 

声を発した。

同時に、周りの空気が変わった。

 

綱吉と骸は、咄嗟に背を合わせた。

囲んでいる殺気は予想以上に多い。

廃墟に見えるこの建物が、墓場となるか否か。

 

「・・・さっきの」

「『伝えたいこと』ですか」

「いい事ですか?」

「少なくとも僕にとっては」

「・・・なら、いいです」

 

ふ、と笑った気配を背後に感じながら、綱吉はグローブを嵌めた。