久しぶりに雪の降る日だった。
一面の銀世界は、普段の喧騒が全くの嘘であったかのように全てを覆い隠している。
リボーンは、公園へと向かった。
愛しい人のもとへ。
公園は音ひとつ無く、住宅街の中でも一層別次元のように思えた。
白い中、赤一つ。
静かに歩み寄る。
足音がきしりと鳴った。
わずかに積もり始めている。
今夜は冷えるだろう、一緒に寝る口実になる、と一人思う。
夜の相手を思い出し、思わず体が熱くなるのは青春真っ盛り若気の至り。
「リボーン」
綱吉が顔を上げた。
頬が真っ赤になっている。帽子の色と対になり、それは白の中で輝いた。
「起きたら雪降ってたからさ、雪だるまつくろうと思って!」
きひひ、と笑うその姿は、知らずリボーンの心臓を締め付けた。
「雪って、不思議だねえ」
続きは言わず、綱吉は空を見上げた。
リボーンはその横顔をじっと見詰めた。
その真っ直ぐな、雪の中でも揺らぐことの無い琥珀色にどきりとする。
口から出る白い息が空気に溶けてふっと消え、まるで綱吉の口の中から世界が出来ているかのように思わせた。
その表情が見たこともないような大人びた、遠くをみつめたものだったので、リボーンは目の前に居る人物が本当に
綱吉なのかわからなくなった。
これは、ツナか。
いつも一緒にいる、あの幼馴染か。
琥珀色の睫毛がふるり、と震えた。
鳥肌が立った。
ツナ。
お前は、何時の間に。
お前は、こんなにも、
綺麗になったのか。
綱吉がリボーンを見ても、彼はぼうっとしていた。
「リボーン?」
綱吉の手が頬に触れる。
そこから、全身に業火が渦巻くかのような錯覚を覚えた。体が燃えている。
衝動的に、腕の中に閉じ込めた。
「わ!」
驚きの後に背中に回る腕の感触に、涙が出そうになった。
ああ、コイツは。
確かに沢田綱吉だ。
大切な、俺の愛する人。
もしもこの世に神がいるのなら。
きっと、こんな姿をしているに違いない。
どうしようもなく切ない気持ちが込み上げて、腕の力を強くする。
すん、と鼻が鳴る音を聞いて、綱吉が少し慌てだしたのがわかった。
でも顔を見られるわけにはいかない。きっと情けない面をしているだろう。
あー、ダメだ。
幸せすぎて死にそう。