出会えたのは奇跡。
何もかも手に入ると思った己の自信は小さい頃、あの瞬間に打ち砕かれて、どうしようもなく、どうしようもなく、いつの間にか手に入れたくて仕方なくなってしまった。
夢か裏切りか有り得ないどうして卑怯者嘘だお前あいつが殺すこの男俺のもの駄目だそれは唯一の、 |
ただひたすらに、強く、抱く。
部屋に響いているのは、断続的に軋むスプリングの音、弱々しい呻き、僅かな悦声、上回るすすり泣くおと。
綱吉は唇を噛み締めていた。ただひたすらに耐えるしかない、この時間が早く過ぎ去ってほしいと願いながら。
相手の顔は見えない。自分の体はうつ伏せにさせられ、そして圧し掛かられている。感じるのは荒い息遣い、荒く体中を弄られる感触。
「・・・も、やめて」「嫌だね」
ピシャリと言葉を叩きつけられ、下肢の間に手を伸ばされた。
「う、」
ぐちゃりぐちゃり、性急な動きは快感を増長させ動きと重なって、全身がそのたびに跳ねる。悔しい。
「痛い!」
肩を噛まれた。叫びに一瞬止まるが、リボーンは僅かに血が滲むほどに力を込める。そうしてくっきりと痕がついたのを満足げに見下ろしてべろりと舐め、腰を掴み直した。
「ぅあひ、ぃ、」
幾度目かの律動が始まった。
シーツに顔を埋めながら声を押し殺し切れていない綱吉に、リボーンは愛しさを感じた。その色は暗い。
「ツナ」「い、」
わざとらしく耳元で囁き、先ほど噛んだところをわざとらしく掴み、横に向かせた。白い足を片方だけ肩に引っ掛け、体重を掛ける。
「ァ、あ!アァああッ!」
涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔に、ぼやけるほどに近付いて。瞼も目尻も頬も顎も唇も、まるでそのまま食べてしまいそうなくらいに舐めまわした。
「綱吉。ツナ。お前は誰のものだ」「あぅ、ッあ、お、れは、」「誰のだ」「ッッンッ!!」「誰のだ?」
死神。綱吉はなぜか唐突に思った。甘く暗い声色が、其れを脳裏に浮かび上がらせた。
「もう、アイツには近付くな」
耳たぶを食みながらの台詞に、快楽よりも怒りが勝った。
「なん、で」
「なんでも、だ」
「いやって、いったら?・・・ア、うっッ」
「殺す」
「・・・・・・・・・・・ッ、・・・・、ばか、やろッ」
肉のぶつかる音が鳴り響き、綱吉は耳を塞ぎたくなった。だがそれすら叶わない。
目尻から再び、熱いものが零れた。色々と理不尽過ぎる。一方的に、怒りをぶつけられて。なのに。
なんでお前が泣きそうなんだ。ばか。
リボーン。
息をつく。
部屋に入り込んだ青白い光は少年を隠し、今は眠っているもう一人の少年を照らしていた。
そっと頬に手を伸ばす。だが、触れる直前で手を引っ込めた。触れなかった。さっきはあれだけ、蹂躙しておいて。
(ツナ)
赤く腫れている目尻から目を逸らす。肩口の噛み痕には満足感を覚えた。
甦るのは、赤。
誰も居ない放課後の教室。夕陽に照らされて密やかに、少年たちは囁きあっていた。秘め事を共有するものたちのように、静かな笑い声。
囁く黒髪は、まるで耳を舌で縁取るかのように唇を寄せ。愛しい人はそれを拒絶するでもなく、くすぐったそうにはにかんで。
凍った。
黒髪の少年が、一瞬こちらに目をやったのが見えた。
その口元が、笑みの形に歪んだのを視界に入れたのが記憶の最後。
あとは、覚えていないのだ。目の前は闇だった。
綱吉。お前に出会えたのは奇跡。
何もかも手に入ると思った己の自信は小さい頃、あの瞬間に打ち砕かれて、どうしようもなく、どうしようもなく、いつの間にか手に入れたくて仕方なくなってしまった。
俺はずっと、愛するから。お前だけだから。
だからどうか。
置いていかないで。
や り す ぎ た ! 黒髪の少年は山本です。見事挑発されたリボーン。重い感じで。オーバー!