「あ」
「お」
体育からの帰り、綱吉達は廊下でバッタリ会った。
「よう、綱吉」
リボーンの隣にいたコロネロが気さくに話しかける。
「今から移動?」
「物理だぜコラ」
口調はぶっきらぼうだが、気の良いコロネロを綱吉は好いていた。
「こっちはサッカーだったんだぜー、めっちゃ楽しかった!」
綱吉の隣にいた山本が笑顔で言った。その隣の獄寺は、渋い顔をしている。
獄寺は、綱吉に話しかける相手には基本渋顔だった。
「ツナ」
実は綱吉の真正面に立っていたリボーンが、おもむろにポケットから何か取り出した。
ベシ、と額に押し付ける。
「ドジめ」
絆創膏だった。綱吉の鼻の頭には擦り傷が出来ていた。
「あ、ありがと!」
颯爽と去っていく背中達に向かって礼を言うと、振り返らずに手を振った。
「なー、ツナとアイツって幼馴染なんだよなー」
「リボーン?うん、三歳からずっとお隣さんだよー」
「アイツって、入学式ん時に代表挨拶してましたよね、確か」
「うん!首席で合格したんだよー」
綱吉は本当に嬉しそうに語った。
幼馴染は、綱吉の一番の自慢なのだ。
「ふーん」と相槌を打つ両隣の二人は、いささか複雑そうな顔だった。
「リボーンって、頭も良いしスポーツも万能だし、顔も綺麗だよなー」
「うん、でも結構意地悪だけどね」 『意地悪』だと言う割には、顔が幸せそうである。
「でも、アイツが笑ったところ、あんま見ねーッスよね」
「え、そうなの?」
「少なくとも、校内では無表情だって言われてるみたいですよ」
(・・・・・・・へんなの)
リボーンはあれで結構感情を顔に出す、と思っていた。
(でも、コロネロといるときは楽しそうだよね)
コロネロは、入学後出来たリボーンの悪友だ。
リボーンに負けず劣らず、頭と体と顔の出来が良かった。
あの二人が行動を共にしていると、物凄く目立つ。
(ちょっと寂しいけど、リボーンに友達が出来て良かった。――それに、オレにだって)
綱吉にも新しい友達が出来た。獄寺隼人と山本武だ。
獄寺はチンピラみたいな格好ではあるが、頭が良く(偶然にも)イタリアからの帰国子女で、なぜか綱吉に懐き、
「沢田さん!」と敬語で話しかけてくる。
山本は入学式から日も立たないうちに、クラスの人気者になっていた。
野球部の期待の新人エースと言われている彼は、なぜか綱吉を構い倒す。
高校生活は幸先良いスタートだな、と綱吉は微笑んだ。
その笑顔に友人たちは癒されていた。
「な、今度綱吉んちに行ってみたいぞコラ」
「駄目だ」
リボーンはピシャリと返す。即答だ。
コロネロは呆れた顔で溜息をついた。
「お前、いささか過保護過ぎやしないか?」
「気のせいだ」
リボーンは若干眉間に皴が入っていた。先ほどの光景を思い出していたのだ。
先ほどの綱吉の両隣にいた二人と直接喋ったことはなかったが、何となく気に食わなかった。
「今度綱吉に聞いてみよう」
「やめろ」