どれくらいの時間、見詰め合っていたのか、綱吉にはわからない。

ほんの一瞬のようでもあったし、長い時間のようでもあった。

綱吉は、自分の気持ちが理解できない、と思った。

あんなに会いたくなかったのに、顔を見た途端、抱きかかえられた途端、全身が安堵感に包まれていくのを感じる。

離れてほしいような、もっと傍にいてほしいような、切ない思いが溢れてきた。

 

(ああ、オレ、リボーンのこと、好きなんだなあ)

 

誰かを想うということは、こんなに苦しくて、哀しくて、嬉しくて、幸せなことだったんだ。

 

 

「ツナ、無事か」

 

リボーンが問う。綱吉は応えなかった。

リボーンの声に、酔っていた。

 

「・・・何とか、言え」

 

もっと、何か喋って。声が聞きたい。

 

「ツナ」

 

「すき」

 

リボーンがぽかんとした。

綱吉は噴出しそうになったけど、頑張って堪え、もう一度言った。

 

満面の笑みの中に、少しだけ涙を零しそうになりながら。

 

「オレ、リボーンのこと、好きだ」

 

 

 

その時のリボーンの顔は、綱吉にとって一生忘れられないものとなった。

 

(あの最強のリボーンが、顔を真っ赤にさせて、泣きそうになったんだぞ!)

 

 

 

 

「・・・・・・・あの、大丈夫・・・?」

「何がだ」

「いや、何かもの凄い泣きそうなんだけど・・・・」

「バカ言え」

「ゴメン、いきなりでビックリしたよね、気持ち悪いかもしんないけど」

「バカツナ」

「うるさい!・・・じゃなくて、ほら、離して」

「何でだ」

「何でっ、て、気持ち悪いだろ!?男同士で」

「お前、俺のこと好きっつったじゃねえか」

「言ったけど、痛い痛い!急に締めんな!・・・じゃなくて!お前、ビアンキが好きなんだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

「だって、オレに『ビアンキが好きなのか』って聞いたじゃん」

「・・・・・・・・・・・・・・・てめえ、まさかずっと」

「そう思ってたよ。だって、いつもビアンキとべったりくっ付いてたじゃん!」

「あれは、あいつが」

「うっさい!鼻の下伸ばしてたくせに!」

「伸ばしてねえ」

「伸ばしてた!」

「ヤキモチ?」

「!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かわいい」

「!!!、な、何言って、」

「好きだ」

 

 

「ずっと昔から、お前だけ、好きだった」

 

 

「綱吉」

 

 

だから、そんなキャラメルミルクティーみたいなゲロ甘な声出すなって。

ただでさえお前の声は脳天に直撃すんだから。

だめだ、嬉しすぎて、恥ずかしすぎて、死にそう。

 

 

全身真っ赤に染まった綱吉を抱きしめて、リボーンは本当に幸せそうに、笑った。

 

綱吉は、その顔を見ることは出来なかったけれど。