初めに、意識したのはいつだったろうか。


リボーンは、唇を食みながら、ふと思った。
少年は、恐らく緊張ゆえに小刻みに震えている。
慈しみと愛しさを込めて幾度も唇を落とすと、段々と力が抜けていくのがわかった。
目の前で揺れる睫毛に、たまらなくなる。
瞼を吸い上げると、甘い吐息が首に掛かった。




あれは、そうだ。

昔、小学生の頃。夏休みに、ツナを連れて近所の寺の裏林に、探検に出かけたことがあった。
ツナは今も怖がりだけど、それは昔から変わらなく、あの時もグズグズと泣いていた。
正直うざかった。
だけれども、心を大人にして優しく頭を撫ぜてやったのを覚えている。

何か、言葉をかけたのだ、確か。記憶には無いが。

四方に伸びた髪の毛が、意外と柔らかい、と思ったのはその時だ。
俺の言葉にツナは傾けていた顔を上げ、真正面から向き合ってきた。


涙で濡れた、透き通った琥珀色の輝きは、暫くの間脳裏に焼きついて、離れなかった。

手をどけるのを躊躇ってしまった時点で、ああ、堕ちたな、と思ったのだ。





風呂場で軽くジャブをかましたのがいけなかったのだろうか。

リボーンは真剣に考えていた。

ベッドで横たわっている少年は、何だか疲れきっているようだった。
放っといたらそのまま寝そうな気配を感じ、それだけは阻止しなければと思った。


ここで終わらせるわけにはいかない。

長年のアレやソレが、今夜ようやく叶うのだ。


目の前の可愛い果実(綱吉が聞いたら憤死するだろう)を一睨みし、瞬間、いつかイタリアから取り寄せた薬の存在を思い出した。




いつかの日のために、と、マフィアのボスを務める親戚の爺さんにも隠し、やっとの思いで入手したそれは、鮮やかな桃色で『いかにも』な感が漂っている。

だが、綱吉の白い肌とのコントラストに満足感を覚えながら、下で喚いている少年を黙らせにかかった。

思わず鼻歌がこぼれる。
こんなに機嫌が良いのは久しぶりだ、と胸の内で苦笑しながら、どろりとした衝動と、少年の痴態を想像しての興奮により、僅かにぶるりと震えた。