どす黒い、赤。

 

「ッ!」

 

綱吉は跳ね起きた。全身が嫌に冷たい。汗を掻いていた様だった。

嫌な夢を見たようだ。曖昧なのは、覚えていないからだ。

ふと、気付いた。

家庭教師が居ない。

「・・・・・リボーン?」

しん、とした部屋の中は、いつもの喧騒が全くの嘘のようで、知らず綱吉はぶるりと震えた。

 

階下に向かう。台所には、奈々が居て少しだけ安心した。

「あら、おはよう」

「リボーンは?」

途端、なぜか黙り込んだ奈々に、訝しげな視線を送った。

「母さん?」

「さあ、朝早くに出たと思うわ」

何だ、この妙な感じは。

 

「おはようございます!」

「よ!」

「おはよー」

沢田家の玄関口で、友人たちに会った。

「ねえ、リボーン知らない?今朝から居ないんだけど」

二人がなぜか固まった。嫌な予感は更に形づく。

「・・・・・さー、坊主のことだからどっかふら付いてんじゃねえか?」

「そうですよ、きっと無事に帰ってきますよ」

「『無事』、って何?」

しまった、と顔に書いてあった。

何だ、これ。何でオレだけ知らないの?

ていうか。リボーン、お前、何してんだ。

 

綱吉は駆け出した。

十代目、ツナ、後ろから声が聞こえるが振り切った。

 

嫌な感じは一気に爆発し、胸にブラックホールが出来る。

激烈に妙な予感を覚えたのは、黒曜戦以来だった。

 

リボーン、リボーン、お前はどこへ。

 

アイツは、最強のヒットマンで優秀な家庭教師だけど。

まだ、赤ん坊なんだぞ。

まだオレに碌に触らせてもくれてないくせに。

急に居なくなるなんて、許さない。

 

綱吉は、虚空を睨んだ。

ポケットの中のグローブを、ぎゅっと握り締める。

 

どこにいるかも全然わからない。

けど、絶対見つけてみせる。この嫌な胸騒ぎが、オレの勘違いだとしても。

無事で居ろよ、と呟いた綱吉は、止まる事無く、当てもなく走り続けた。