その次の日。

昼休み、教室で昼飯を食べ終わった三人がダベっていると、野球部の同級生が駆け込んできた。

 

「山本ー!ニュースニュースニュース!三年の太田、退部したんだって!」

綱吉は、山本の顔を見た。

山本は表情を変えずに、「そーなんだ」と呟いた。

「アイツ嫌味ばっか言ってたからさー、部でも嫌われもんだったじゃん! でも何で辞めちゃったんだろうなー」

「さー、受験とか、『一身上の都合』じゃね?」

「でもこれから夏の大会なのになー、もったいねえー」

 

なんとなく、綱吉は、山本の顔をずっと見ていた。

そして、山本はそれに気付いている、だけど綱吉の視線を避けている、と感じた。

十代目、との獄寺の呼びかけに、ああうんどうしたの、と応えながらも、綱吉の意識は山本に向けられていた。

 

(たぶん、オレの想像は合ってるな)

(山本・・・バレたら、退部モンだよ)

(・・・・・・・・・・・・・・・・・もー、無茶するなー)

 

まあ、山本が無事だったら、いっか。

 

綱吉は、にへら、と笑った。

それに気付いた山本が、ちょっとだけ微笑んだ。