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「ヘイッユー!!」
「は?」
何もない道を、ただ歩いていただけなのに、俺は声をかけられていた。
「そこの君!君だよ!」
「はぁ?」
この妙なノリは何なのかを聞いてみたいが、あまり良い予感はしない。
むしろ嫌な予感しか漂ってこない。
昔から勘は良い方だったから、これを信じたほうがいいのだろうと、俺は無視することを決めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ君ぃぃ!!!!!」
慌てて俺を呼び止める男は、まじまじと見ればあまり歳をとっていない。
本年16歳になる俺よりは歳っぽいが、童顔。
情けないことこの上ない下がった目尻。
頼りなさそうないかにもダメっぽい外見。
身につけているものは、普通のサラリーマン。
ただ、ネクタイが妙に派手だ。
センス悪い。
泣きそうな声を上げながら必死に呼び止めるこのセンス悪男にちょっと同情して、俺は立ち止ってしまった。
「おー!やはり、わかってくれたんだね!俺の心を!!」
立ち止まっただけで、そう喜ばれても困るのだが。
というか、別にお前の心はわかってないしわかりたくもない。
それを素直に言ったら、きっとこの男はまた泣きそうになるだろうけど。
「俺は昔から、直感が良く働いてね!」
いきなり昔話突入だ。
これから、うんぬんかんぬんとお婆さんが川へ洗濯しに行きましたとか言われたらもともと短い気が切れそうだ。
やっぱり立ち止まるんじゃなかった。
人差し指を立たせて自慢げに話す男は、びしぃぃいいッと効果音がが鳴りそうな勢いで、俺にその人差し指を向けた。
人に指差しちゃいけませんって習わなかったのだろうか。
「ユー!!君はアイドルになるんだ!!」
・・・・・は?
なんだ、それ?
新手のナンパか?
いや、男が男にナンパして何が面白いというのか。
じゃぁ、この下手くそで迷惑きまわりない誘い文句は一体・・・?
「あ、いきなりのことで驚いているんだね!じゃぁ、もう一回丁寧に言うよ。き・み・は・あ・い・ど・る・に・な・る・ん・だ!!!!!」
それは丁寧にじゃなくて、強調して言ってるだけだろうが。
しかも、口の横で立てる人差し指はなんだ。
ウィンクして星が飛んできそうな仕草はなんだ。
ああ、殴りたくなってきた。
「悪いが、そんな冗談には付き合ってられねぇ・・・他をあたるんだな」
暴力沙汰を起こすと面倒だと、俺は男にひらひら手を振りながらスタスタと歩き出した。
だが、足が重い。
ずずー、ずずーという音がする。
「・・・・・お前、人間捨ててるのか?」
下を見れば、やはりその男は足に縋りついて俺に引き摺られていた。
心底呆れたという俺に、男は怒りもせず、曇りの無い笑顔でこう言ったのだった。
「俺の目に狂いはないよ・・・ていうか、直感に。君は俺が生涯を尽くすアイドルに相応しいんだ」
まともな日本語になったのは、これが本来の性格だったのだろう。
その笑顔は、ただ、夢を信じている一人の人間だった。
何故か俺はその瞳に吸い込まれそうになって。
頷いてしまったんだ。
生涯をこの男のために生きることを。
「俺は沢田綱吉」
「・・・リボーン」
「リボーンって言うんだね!さ、リボーン、まずはアイドルになるための強化合宿だよ!」
「合宿?」
「うん。俺と一ヶ月、一つ屋根の下で過ごすんだ!」
「・・・・・・・は?」
「俺が君に付きっ切りで、色んなことを教えてあげるよ!」
・・・・・幸先不安。
このとき、俺はまだ知らなかった。
このセンスが悪くて、いかにもダメそうな男に、生涯だけでなく心も持っていかれることになるなんて。
まだ、知る由もなかったんだ。
とりあえず、今はネクタイを変えてくれ。
少年よ、夢を抱け
いや、もう、本当にありがとうございました…!
かなり強引に書いてもらったようなお宝です!フー!!(反省の色なし)
読み始めは一瞬「ヘイ!」と言ってるのがリボさんかと思って「キタァァァ!」とめっさ興奮しましたが、ツナだと知って「うおおおおおお!」と悶える自分が居ました
ただの変態です
紫呂さまのステキサイトはこちらから…!
夢の一時をお過ごしください。
本当にありがとうございましたあああ!