獄寺に彼女が出来た。
背が小っちゃくて目が大きい、可愛らしい女の子だそうだ。
それを知ったのはついさっきだ。
綱吉と獄寺が教室に入ると、クラス中の視線が一瞬にして獄寺に注がれた。
獄寺は「ああ゛ん!?」と威嚇し、綱吉は(ひい!獄寺くんまた何かしでかしたんじゃ・・・)とハラハラした。
「ごーくーでーら!」
陽気に声をかけてきたのは山本だった。ものすごく満面スマイルだった。
「お前、そーゆーことは先に言っとけよなー!水臭せーじゃねえかー、なーツナ!」
((え、なにが??))
二人ともきょとんとした。何のことやらさっぱりだ。
「カノジョ、出来たんだろ?」
山本の爆弾発言に、一瞬の沈黙の後、
「ええええええええええ!!」
綱吉は叫んでいた。
「ま、ま、ま、ま、ま」
「マジで出来たん?」
「ああ・・・・・・・・・・」
獄寺は綱吉にチラリと視線を向け、困ったような焦ったような顔をした。
「十代目、ご報告が遅れて申し訳ありませんでした!オレ、すっかり忘れてて・・・」
「いや、そんな直角にお辞儀しなくてもいいし、謝らなくても大丈夫だから!ていうか、『忘れてた』って・・・」
綱吉が呆れたように言うと、獄寺はバツが悪そうに話し始めた。
昨日、綱吉が補習を受けている間、「先帰ってて」と言われたにもかかわらず獄寺は正門で待っていた。
すると、一人の女子生徒が「獄寺くん」と話しかけてきた。
獄寺は全然覚えがなかったのだが、何度か体育の合同授業で一緒になったらしく、女子生徒は顔を真っ赤にさせながら言った。
「す、好きです!」
「そんで?」
「『付き合って下さい』って言われた」
「で、オーケーしたと」
「すごーい!獄寺くんすごい!」
綱吉は尊敬の眼差しで獄寺をキラキラと見詰めた。
そんなこと無いッスと言いながらも、獄寺は綱吉に持ち上げられて嬉しそうにぐふ、ぐふと照れていた。
「で、そのまま十代目と一緒に帰りましたよね、十代目!」
「うん・・・・・・・・・・・・・ていうか、昨日そんな告白劇があったのに、全然そんな素振りみせなかったね!」
「いや、あの後十代目が『テ、テスト・・・』って顔面蒼白で呟きながら出ていらっしゃたので、何とかお助けしようと思って、すっかり忘れてました」
「なんだそれ!ていうか、獄寺くんが頷いたのが意外だったなー」
「うーん、顔見て何となく、いっかなーと思って・・・さ、最低ですか、俺?」
「ううん、そんな事ないよ!すごいなあー」
「そっかー、とうとう獄寺にもカノジョが出来たかー!」
「山本、なんでそんな嬉しそうなんだ?」
「だって、『シンユー』の幸せは俺らの幸せ、だろ?な、ツナ!」
(・・・・・嘘くせー)
「うん、ほんとにおめでとう、獄寺くん!」
「!、ありがとうございます!」
そんな感じで、獄寺の青春の一ページは幕を開けた。
はずだった。