放課後。

「十代目ー!今日は補習無いっすよね!」

「うん、ないよー」

「一緒帰りましょう!」

「ええええええ!」

綱吉は驚いた。そんな綱吉に獄寺も驚いた。

「え、い、いやですか・・・・?」

「いや、そーじゃなくて!カノジョさんと帰らないの!?」

「何でですか?」

本気できょとん、としている獄寺を、綱吉は信じられない面持ちで見た。

「え!だって、普通そんなもんじゃないの!?」

「俺にとっての最優先事項は十代目です!さ、帰りましょー」

「ま、まじでえ?」

腕を引っ張られずるずると引き摺られながら、綱吉は『ホントーにいいのか?』とぐるぐるしていた。

階段を下りる曲がり角から廊下を見たとき、茶色い髪の女の子が、こちらを見ていた気がした。

 

翌々日の放課後。

自宅の部屋で補習テストの勉強をしよう、と山本といた綱吉は、右隣にいる人物を見ていた。 獄寺だった。

「・・・・・・・・・・・・・・ねえ、獄寺君」

「はい、何でしょう!」

「勉強教えてくれるのは、ものっ凄い助かるんだけどさあ」

「そんな、『右腕は君しかいない』だなんて!」

「いや、言ってないから!」

「お前さー、カノジョと全然会ってないんじゃねえ?連絡とかしてるのか?」

山本が聞いた。 そう、オレの言いたかったのはそれだよ!綱吉は思った。

ここ数日、獄寺は全くカノジョの影を見せていなかった。

昨日も、「一緒に帰りましょう」とそのまま沢田家へ直行、遅くまで一緒にいたのだ。

(オレが考えすぎなのかなー?普通、カノジョが出来たら嬉しすぎて構いっきりになりそうなのに・・・)

「ていうか、俺そいつの連絡先知らねえ」

「「なにっ!!」」

「クラスしか知らないッス・・・えーと、確か、三組の・・・た、高木?」

「高野じゃねえ?」

「あ、高野だ!」

(な、名前すらうろ覚えだよ!)

綱吉は、顔も知らぬ女子生徒に心底同情した。

それと共に、小さな怒りが沸々と込み上げてきた。

「・・・・・・・・・・・・・・・獄寺君」

「、は、何でしょうか」

「『なんでしょうか』じゃねええええ!!」

ドガッシャ!

綱吉は思わず『ちゃぶ台返し』をした。

獄寺は目を丸くした。

「あのさ、そんな態度ダメだよ!?女の子に嫌われるよ!てか、女の子がかわいそう過ぎるよ!」

「でも!俺にとっては十代目が最優先事項で・・・」

「それこないだ聞いたから!ともかく!」

しばらくは、一緒帰るのやめよう?一週間、家に来るのも禁止ね?

綱吉は笑顔で言った。獄寺は目を剥いて、次の瞬間猛反対した。

「絶っ対嫌です!!!十代目、考えなおしてください!!!」

「あ、入り口に『獄寺隼人立ち入り禁止』って張り紙しとこ」

「そんな、殺生な!!いそいそと準備しないでくださいいいい!!」

獄寺は本気で号泣していた。

「ま、その間、ツナのことは俺に任しとけ?」

山本が獄寺の肩を抱きながら、いい笑顔で言った。