綱吉は焦っていた。
(今のって、今のって、ごくでらくんだったよね?)
よりによって、友人の「最中」の現場を目撃してしまった。
(うわあああああああああめっちゃ恥ずかしい!ていうか、付き合ったばっかで教室ですんなよ!)
中学生で初心な綱吉には、刺激の強すぎる光景だった。
(一瞬しか見なかったけど、)
は、はずかしー!!
ていうか、友達のそーゆー場面は、何かヘコむ・・・。
綱吉は、とぼとぼと家路に着いた。
その頃、獄寺も焦っていた。
(今のって今のって今のって)
まさか、十代目じゃねえだろーな。
自分の教室に行くと、とっくにテストは終わっていて、山本が部活に行く準備をしていた。
「おー獄寺、お前先帰ったんじゃなかったの?」
「おい、十代目は」
「ツナなー、『何か獄寺君がいる気がする』っつって、お前のこと探しに行ってたぜー」
ほんと妬けるよなー、じゃあなーと呑気に挨拶して出て行った山本には目もくれず、獄寺はその場にへたり込んだ。
(――――!や、ばい!!じゅうだいめに・・・・・・・・・・・・・・・・・見られた)
家に帰るまでのことは、ほとんど覚えていなかった。
気付いたら、いつの間にか玄関に立っていた。
頭の中は、綱吉に見られたという事実と、ヤるんじゃなかったという後悔が渦巻いていた。
(明日、合わせる顔がねえ・・・)
シャワーを浴びながら物凄く影を背負っていた獄寺だったが、ふと、今日のイタした時のシーンを思い出した。
(もし、あれが十代目とだったら)
(え、いや、俺何考えてんの?)
おかしいだろ!と自分に突っ込みながらも、頭の中ではすでに妄想が広がっていた。
可愛く頬を染め、「しよ?」と上目遣いでおねだりする綱吉。
獄寺の下で息を荒くする綱吉。
腕の中でしなる綱吉。
顔を赤くして目元には涙を湛え、必死に声を抑える綱吉。
耳元で「はやく、」と息を吹き込む綱吉。
(!!!)
(いや、俺、それはやばいだろ!だだだって、十代目は男だ!)
だが、妄想は止まらない。
獄寺は自分の下半身を見た。
(それはないだろって、こら、勃つな!)
その日の夜、獄寺は夢を見た。
内容は言わずもがな、綱吉と獄寺の、にゃんにゃんしている夢だ。
翌朝、下着が濡れていることに、獄寺は激しく落ち込んだ。