トントントン、トントン。
まな板の上の具材を切り終え、鍋の中に放り込む。後は煮るだけ。
一息つくと、奈々は子供たちを起こすべく、階段の下から声を張り上げた。
「ツナー、リボーンちゃーん、朝ご飯よー」
昨日は日曜だったので、基本的にリボーンが泊まる日だった。
小さい時に比べ、少しずつではあるが泊まる回数が少なくなってきた事に、ほんのわずかの寂しさを覚える。
台所にリボーンが現れた。
「ちゃおッス、ママン」
「おはよう」
言いながら、奈々は何となくリボーンに元気が無いように感じた。
大丈夫、と声をかける前に綱吉が入ってくる。
「おはよー」
「おはよう」
こちらも若干元気が無い。綱吉とリボーンの目が合った。途端、綱吉が顔を逸らす。リボーンの表情が硬くなった。
(・・・またケンカしたのね)
二人の子供は黙々と朝食を食べている。
(ま、大抵は夜には仲直りしてるしね)
奈々は放っとくことにした。
昼休み。はああああ。綱吉は心からの溜息をついた。
見かねた山本が声をかける。
「ツナ、今日だいじょぶか?」
「んあ、なにが・・・」
語尾にも覇気が無い。
「何か朝からずっと溜息ばっかついてるけど・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「俺でよかったら相談に乗るぜ?」
「・・・・・・・・実は・・・」
はあ。溜息を挟み、綱吉は告白する。
「ケンカした・・・」
「・・・リボーンと?」
「うん・・・」
「・・・・・・・・・・・なんで?」
「・・・・・・・・・・・・・」
理由を聞いた山本は、急に黙った。
「やまもと?」
「・・・・・いや、何でも・・・俺、人に殺意沸いたの初めてかも・・・」
「だろ!?アイツの言い方が酷いんだよ!」
「・・・・・・・」
「あー、でも、山本に話したらちょっとすっきりした!ありがとう!」
「・・・・・・・いや、役に立ってよかった・・・」
「オレ、ちょっとリボーンとこに行ってくる!やっぱオレは悪くないもんねー」
山本って、ほんといいヤツだね、ありがと! 笑顔で去った綱吉の背を見ながら、山本は呟いた。
「・・・・・・アイツ、いつか刺したい・・・」
はあ。その音が響いた瞬間、空気が一瞬止まった。
現在、クラス中の生徒は教室の窓側、一番後ろの席の方を恐々と遠巻きに見ていた。
学年首位の男が、朝からどす黒いオーラを背負っているのである。しかも、時折溜息をつきながら。
いつもなら憧れや羨望の眼差しで見詰める無数の目は、恐怖と疑問に満ちていた。
「おいコラ」
(((あああ、ついに勇者が・・・!!)))
皆の見守る中、悪友コロネロが声をかけた。が、リボーンは聞いてない。
「おい!」
「ああ?」
ギロリと睨み返した。ゴキジェットも負けそうな殺傷能力だ。だが、コロネロは怯まずに続けた。
「テメー、何でそんな機嫌悪りーんだコラ」
「テメエには関係ねえ」
「まさか、アイツ絡みか?」
また睨まれた。図星らしい。
「大体、アイツが悪いんだ」
「何が?」
聞いたその瞬間、教室の後ろ戸ががらりと開いた。
「・・・・・・・ツナ」
「リボーン、ちょっと」
(((うおおお!ダメツナがリボーンを呼び出した!!)))
コロネロは一瞬、リボーンのどす黒いオーラの一番内側が若干ピンク色になったような気がした。
皆の見守る中、二人は廊下の隅に移動し、何やら話し出す。
(何なんだ、コラ)
コロネロは気になって、近づいてみた。
「・・・・・確かに、『うざい』っつったのは、悪かった」
「『気持ち悪い』も」
「・・・・・『気持ち悪い』も悪かった」
「オレ、結構傷ついたんだけど」
「悪かったっつってるだろ」
「じゃあ、今日はいーだろ?」
「ダメだ」
「だから何で!『気持ち悪い』から!?」
「違う、それは言葉の勢いというか」
「じゃーなんでさ」
「だから・・・お前、男だろ?察しろ!生理現象とかいろいろ」
「はあ?何言ってんの?寒いもんは寒いんだよ!」
「お前な、そんな事言ったって、もうタっちまってからじゃー遅いんだぞ?」
「何が?」
「お前それを俺に言わせるのか」
「よくわかんないけど」
「わかんねえのか!?」
「今日は一緒に寝るからね!」
綱吉はギッとリボーンを睨み付けた。
リボーンが綱吉の台詞とその他諸々の事情で動けなくなってる間、綱吉は帰っていった。
「あ、コロネロ!ばいばーい」
晴れやかな顔の綱吉に手を振りかえしながら、コロネロは途方に暮れていた。
(・・・俺、他人のケンカを聞いてこんなにやるせない思いになったのは初めてだぞコラ)
とりあえず、目の前の友人を慰めよう。
「頑張れ」と。「今日は寝れるといいな」と。
人のいいコロネロはまだ動けないリボーンに歩み寄った。
意味がわからなかった方はケンカの様子をごらんください
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それでもわからなかったら・・・
すいません!