『初々しい口付けでしたー、いやあ目の保養ですねー!お二方、ありがとうございましたー!』
司会の声が響く。あちこちで生徒達が興奮している中、綱吉は固まっていた。
「おーい、ツナ!大丈夫かー?」
山本が目の前で手のひらを振っても全然気付かない。
『しかし、今回はこれで終わりではないのです!』
どよ、と体育館が揺れたように感じた。綱吉は、はっ、と覚醒した。
『今回ミスターに選ばれたリボーン君は、身体能力がとても高いことで有名です!
また、リボーン君に対するファンからの熱意溢れるメッセージもたくさん届きました!
と、言うことで!
特別企画!第一回、ミスターを捕まえろ!!』
『ルールは簡単、ただの「鬼ごっこ」です!
これから、リボーン君に手錠を掛け、両手が塞がった状態で逃げてもらいます!
皆さんは、制限時間内にミスターを捕まえてください!
リボーン君が持っている手錠の鍵を奪い、手錠を外して彼を自由にしたら終了です!
ただし、いくつか注意事項があります!まず一つ、制限時間は四十分!
もう一つは、ミスターに危害を加えたら失格!そして、校内を出たら失格です!
学校の壁には、風紀委員が各所についておりますので、出られないようになっています!
それ以外なら何をしてもアリです!一人で攻めるのもアリ、数人でトラップを作るのもアリ!』
司会はおもむろに手錠を取り出し、リボーンの両腕にハメた。
綱吉は、あいつ、よく殴られないな、と思った。
『それでは、商品をミスターから発表していただきます!』
マイクを差し出され、リボーンは言った。
『商品は』
ニヤリ、と、不敵に笑う。
『三日間、オレを奴隷に出来る権利、だ』
その日一番の歓声が、今度こそ体育館を揺らした。
綱吉は今度こそ呆然とした。
「なにかんがえてんだ、あいつ・・・」
隣にいた獄寺が、こそっと山本に耳打ちする。
「おい、山本!」
「どーした獄寺」
「リボーンさんをもし捕まえられたら、三日間奴隷に出来るっつってたよな。
てことは、三日間だけ、リボーンさんに命令できるってことだよな?」
「?ああ・・・」
「てことは、だ!もし、『三日間、沢田さんと二人っきりにさせろ』とか命令したら、叶えてくれるっちゅうことだよな!?」
「・・・・・・、―――!!!」
山本は、目からウロコが落ちたような顔になった。獄寺がにやりと笑う。
「沢田さんと一番一緒にいるのはリボーンさんだし、リボーンさんに頼めば確実に叶うぞ!」
「お前頭いいな!」
二人は頷きあった。
「「今だけ、共同戦線だな」」
「沢田さん!」
「・・・、あ、ごめん、どした?」
「俺たち、ちょっと用が出来たので・・・失礼します!」
「え、」
「ツナ、ごめんな、でも、俺たちの明るい未来のためなんだ」
「な、なにそれ」
「じゃーな!」「では!」
二人はあっという間に消えていった。
しかも、周りを見るともう誰もいない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戻ろう」
なんだろう、このやるせなさは。
綱吉は、とぼとぼ、と教室に向かった。