「ちゃおッス」 「なんでだ!」
教室にはなぜかリボーンがいた。のんびり両手でコーヒーを啜っている。ちょっと可愛い。
いや、確かに、今だけここは喫茶店だけど!何でそんな余裕なんだよ!
「ねえ、手、大丈夫なの・・・?」
「ああ、こんくらい何ともねえ」
「ふーん」
ふい、と顔を逸らしてしまった。 先ほどのキスシーンを思い出してしまったのだ。
「おい」
急に不機嫌な声がした。
「何で目を合わせない」
「べ、別に・・・・・・」
(京子ちゃんとキスしたの見たから、何て言えるか!)
「京子とキスしたことか」
「だから何でわかるんだよ!」
何だか恥ずかしい。キスくらいで動揺するなんて。いや、たかがキス、されどキスだ。
「いーじゃねえか」
カチンときた。
「なにそれ」
「だって、アレは・・・」
「「「見つけた!!!」」」
二人は思わず身構えた。リボーンはすでに窓枠に足を掛けている。
「リボーンさん!お願い、私たちの気持ちを受け取って!」
女子生徒が数人、じりじりと近づいてくる。リボーンが舌打ちをした。ガシリといきなり綱吉を抱える。
「おい、ツナ、しっかりつかまってろ」
「え、オレも!?ちょ、抱えんな、てか、ここ、三階・・・」
飛び降りた。
「あぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」
ズダンッ!!
リボーンは華麗な着地を決めた。その脇で、後ろ向きに抱えられた綱吉は白目を剥いている。口からは涎が出ていた。
「リボーン!見つけたぜ!」 「リボーンさん!いたー!」 「確保ー!」
「まずい、見付かったな」
リボーンはそのまま走り出した。
「ちょ、リボーン、下ろせ!」
覚醒した綱吉が抵抗するが、リボーンは聞く耳持たず、というように走り続けた。
後ろから追ってくる人数は、徐々に増え続けている。 先頭集団にいる人物達を悟った綱吉は、思わず叫んだ。
「ご、獄寺くーん!山本ー!助けてー!」
「沢田さあああん!ご無事ですかああああ!」
「リボォォォン!ツナを人質に取るとは、卑怯だぞおおおおお!」
『えー、ただいまー、三十分が経過しましたー!残り十分です、皆さん頑張ってください!』
校内アナウンスから、司会者の声が流れ出る。生徒たちの目に、焔が灯った。
「ひいいいい!リ、リボーン!皆、目の色変えて追っかけてきてるんだけど!」
「うるせえ、ごちゃごちゃ騒ぐな」
「何でそんな落ち着いてんだよ!てか、オレ明らかに邪魔だよ!離してってば!」
「大丈夫だ、十分役に立つぞ。いざという時の人質として」
「ふざけんなあああああ!!!下ろせ、今すぐに下ろせ!!」
その時!横からコロネロが飛び出してきた!
「こ、ころねろおおお」
助けてー、と叫ぶ綱吉を無視し、リボーンとコロネロは対峙した。
「リボーン、テメエとこういう機会で対決出来るとは思わなかったぜコラ」
「それはこっちの台詞だぞ」
こうしている間にも、後ろから追っかけてくる人たちは今にも追いつきそうだ。
コロネロがいきなり叫んだ。
「山本!ツナを捕まえろ!グルかもしれねえ!」
「「!?」」
思わずリボーンが後ろを振り向いた、その一瞬の隙を狙い、コロネロはリボーンの間合いにすばやく入った。
「、しまった、」
「押さえたぜコラ!」
コロネロがリボーンの肩を掴んだと同時に、山本と獄寺が追いつく。山本はリボーンの腕の中の綱吉を引っこ抜き、
獄寺はリボーンの足にしがみついた。
「逃がしませんよ!」
「ツナ、乱暴してごめんな!ちょっと、退いててくれ!」
コロネロと獄寺は一気にリボーンを押さえつけ、取り囲み、座らせて服を脱がし始める。
綱吉は呆気に取られたまま、その光景を見詰めていた。
「お前、カギ、一体どこに隠したんだ!」
「少なくとも上半身には無いみたいだな・・・?!」
「ポケットちゃんと見たか?」
たどり着いた他の生徒たちも、手を出すことはせず、成り行きを見守っている。
女子生徒たちは、顔を赤くしながらリボーンの上半身を舐めるように見ていた。
「くそ、ねえな」
「もしかして、下・・・」
「あんま剥きたくねえな」
ぶつぶつと呟きながら捜索している二人の間から、リボーンが視線を投げてきた。
そして、口を開く。
(あ、)
リボーンの目が、訴えている。
お前が取れ、と。
綱吉はチラリと山本を見た。気付いた様子は無い。
(・・・・でも、両手が塞がってんだけど)
綱吉は、両腕を後ろに交差して山本に押さえられている。
綱吉は視線で訴え返した。
(無理、無理!)
リボーンの目が細められた。綱吉はびく!と震える。
(テメエ、俺がどうなってもいいってのか。後でぶっ殺すぞ) と目が語っていた。
う、あ。
どーしよ。
ああ、 もう、
どーにでもなれ!
綱吉が急に前に倒れたので、山本は釣られて前につんのめった。
「え、ツナ、どーした、」
ぶちゅううううううううう。
と、効果音が聞こえてきそうなくらい、綱吉は口付けた。リボーンに。