ぐったりとベッドに突っ伏すオレとは対称的に、リボーンは段々生き生きとしているようだった。

この大魔神め、と心の中で毒づく。

すると、軽く頭を叩かれた。こういう時に思考を読まないでほしい。

そして。

尻の割れ目をなぞられたとき、「来たあああ!」と思った。心持ち血の気が引いた気もする。

いよいよ、オレたちは!合体の儀式を迎えるのだ!!

オレは固く目を瞑った。怖いものは怖い。

昔、リボーンと二人で手を繋いで近所の寺の裏林に探検に行った時のことを思い出した。

あの時オレは怖くて怖くてびーびー泣きまくって、初めはオレを叩いたり抓ったりして脅かしていたリボーンも、ほとほと

困り果てていた。

そして、オレの頭を撫でながらリボーンが言ったものだ。

「ツナ。怖い時は、目を瞑っていれば、すぐ過ぎる。俺が怖いものをやっつけてやるからな。だから大丈夫だ」

あの言葉で、オレはすぐに泣き止んだ。

それから今日まで、その言葉はずっと本物だった。

本当に困った時だけ、リボーンはすぐに駆けつけて来てくれた。

そうだ。リボーンは頼りになるやつなんだ。

オレは、大丈夫。大丈夫。

「――――、イッ!!」

「あ、やっぱキツイよな」

ダメだ。

指一本でオレはいっぱいいっぱいだ。

やっぱり、男同士でイタすのは無理なんだ・・・!

 

絶望感に浸って天井を見上げるオレと、その股の間で真剣な顔をして考え込むリボーン、二人だけの空間。

二人とも全裸。 非常にシュールだ。

 

すると、難しい顔をしていたリボーンの顔が、急に「あ、わかった」的な、頭に豆電球でも浮かびそうな顔になった。

「ちょっと待ってろ」

そう言い残して部屋を出たヤツは、すぐに戻ってきた。手になにやら瓶を持っている。

「何それ?」

「コレの事をすっかり忘れてたぞ」

ショッキングピンクの透明な液体が入っている。壮絶に怪しい。

「・・・・・・・・・・」

「コレをだな」

何の脈絡もなく、いきなり体にぶっ掛けられた。

「うぎゃあ!なにこれ、冷た!」

「いつか来るであろう、この瞬間のために俺がイタリアから取り寄せたモノだ」

「なんだそれ!い、いつ取り寄せたんだよ!」

告白したのって確か今日だったよね!?おいィィ!聞いてんのかァ!

オレの叫びを完全に無視しながら鼻歌なんぞ歌いつつ、リボーンはその怪しい液体をオレの体、というより下半身に

塗ってゆく。

丁寧に、前、そして、後ろの。

「うわっ!」

「お、入ったな」 ぬるん、とそれはゆっくりと、だが確実に侵入して来る。

真剣な顔をして入れているリボーンを他所に、オレは体の変化を感じていた。

「・・・、ね、リボーン、」

「ん」

「なんか、からだがあつい・・・」

息が、だんだん、浅く荒くなってゆく。 塗られたところが、じんじんと、熱を持っている。

「んん、っん」

感じていた痛みもすっかり影を潜め、変わりに別の感覚を感じ始めた。

「指、全部入ったぞ」

「ん・・・」

リボーンはもう片方の手で、オレのわき腹を擦った。途端、小さな電流が走る。

「ッ!」

ぐちゅり、と水音が聞こえ、恥ずかしさに耳を塞ぎたくなった。

質量が増したのが感じられる。二本目が、入ったのか。

リボーンが中で丁寧に動かす度、何とも言えない疼きが下腹部から全身を支配してゆく。

奥を掠めたとき、体が勝手に跳ね上がった。口からも勝手に声が出た。

「は、あッ!」

「―――、ここか」

「―――ぁ、あぁ・・・、あ、ァア」

好き放題、掻き回すの、は、やめろ・・・!

言葉には出せない。ただ、水音と、断続的な女の子みたいな声が、響いた。オレの、声だ。

「っ、り、リボーン!ん、あ、なんか、へんん!」

熱心に下を弄っていたリボーンが、顔を上げる。

オレの顔に近付いてきた。頬に手を沿え、視線を合わせた。

「!ぅああ!ぁ、はっァア!」

オレの顔を見たまま。後ろだけを弄って、オレの顔を見てる。だめだ。恥ずかしい。やめて。

顔が、体が熱くて、何も考えられない。

リボーンの顔が離れた。ほっとしたような、少し寂しいような。

 

一瞬の空白。

 

「――――――!」

先ほどとは比べ物にならないものが、体の中に入ってきた。

「、ツナ、力抜け」

「む、むりぃ・・・!」

息をするのも苦しい!痛い、いたい、体が裂けそうだ!

「大丈夫、落ち着け、ゆっくり息を吐け」

言われた通りにした、少しずつ吐く。ゆっくりと、痛みを堪えながら。

リボーンがオレの前を擦りながら、痛みを和らげようとしている。それで、力も段々と抜けていった。

「ん・・・・・」

「入った、ぞ」

 

その時、オレは一瞬、痛みも忘れて不覚にも泣きそうになった。

 

オレ今、好きな人と、繋がってんだ。

 

 

「うれしい」

するりと口から出た。

リボーンは目を大きくした。途端、下腹部が圧迫される。

「うっ!」

「―――テメエ、ヤリ殺してやる・・・」

なぜかキレ口調のリボーンは、目をギラギラさせながら、オレの腰を掴んで律動を始めた。

液体のために滑りがよくなったのか、思ったより動きはスムーズだ、でも少し苦しさは残る。

けれど、段々とそれは消えていった。

「ん、んん、んぁ・・・」

ぐじゅ、じゅぷ、ずちゅ、音は段々感覚を短くしてゆく。

リボーンが手をオレの手に絡めてきた。

再び、視線は交差する。

「っは、ぁ、りぼ、んんッ」

「つな、」

たまらなくなった。耳元で囁く。

「すき」

 

 

「―――――――――あああああッ、!あ、アッ、アッ、ぁあア・・・ッッ!」

「―――ツナ、ツナ、つな」

「ぅう、お、く、あたって、あぁ・・・!」

急に動きを早めたリボーンに、オレは瞬く間に翻弄された。

スプリングがギシギシ鳴るのも、リボーンの腹にオレの性器が擦れる音も、体がぱん、ぱん、と当たる音も、水の音も、

だんだん遠くなっていく。

 

全身が、どろどろに、溶けて、

 

もう、なにも

 

 

「あァア――――――――――――っ!!」

 

「――――――ッ!」

 

 

脳で、白い光が爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

その後。

一瞬意識を失くしたオレを、リボーンは無理矢理叩き起こした。

そして、入れたままさらに一回、抜いてバックで一回、もう無理と言うともう一度風呂に行こうと言ってそこでさらに一回ヤった。

有り得ない。

初心者なんだよこっちは! そう怒鳴りたかったけど、オレはもう喘ぎ声で喉が潰れかけていた。

その後の事は覚えていない。

ただ、意識を失う寸前、リボーンがキスしながら、「明日は別の体位を研究してみるぞ」と嬉しげに囁いた、気がした。

ふざけんな。

声が出せないまま、ブラックアウトした。