綱吉は母親似だ。だからだろうか、たまに女に間違われる。
「ダメツナ」と呼ばれ始めた時も、確か少しだけ言われた記憶がある。
「こいつ、女みてー、頼りねえー」
だから、獄寺や山本みたいに「男」として上の部類に入る容姿の持ち主に対して、少し劣等感を持っていた。
だからと言って整形しようとも思わなかったし、生まれてきたもんはしょうがないと容姿に関しては深く考えないように努めていた。
ある日の夕方、母親の買い物に付き合った。めずらしく二人きりだ。
特に話すこともなく、奈々が「ツナ、見てーおいしそうねあのコロッケ」とか話しかけてくるのを、適当に受け答えていた。
その時、前から数人の中学生が歩いてきた。綱吉のクラスメイトだった。
「おっ、ダメツナじゃん」
「なにお前、こんなとこで何やってんのー」
「オカアサンとお買い物?えらいなあ綱吉チャンはー」
よしてくれ、と思った。人前で蔑まれることにはある程度免疫がついているが、母親の前なら話は別だ。
「そういやお前、今日の体育のアレ、なんだよ。山本がフォローしてくれたから助かったけど、もう少しでオレらのチーム負けそうだったじゃねーかよ」
「まあ、所詮ツナはあんなもんだって」
「そりゃそうかもだけどさー、気が収まんねえじゃん」
綱吉はクラスメイトと目を合わせることが出来なかった。奈々がいる方の体の右側が、異様に熱く感じた。
「じゃあな、今度はしっかりやれよ」
「いや無理だろ絶対!」
こんな女みたいなヘナったやつ。
ぎゃははは、と笑い合いながら、クラスメイトは去っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ツナ」
「母さん、行こう」
綱吉は、俯いたまま歩き出した。奈々の顔を見ることが出来ない。