買い物を終えて家に帰る途中、奈々がぽつりと言った。
「ツッ君も、大きくなったらお父さんみたいになると思うわよ。男の子って父親に似るもの」
「・・・・・・・・・・・・・」
「お父さんの昔の写真、見る?ステキよー」
「別にいい」
「そんなこと言わないで、ねえ、帰ったら久しぶりにアルバム出してみましょうか?皆にも見せたいし」
そんなもん、見たくない。オレたちを置いてったやつの顔なんか。
「別に、父さんなんてどうでもいい」
奈々の足が止まった。でも綱吉の口からは言葉が止まらない。
「あんなやつ、父親だなんて恥ずかしい。別にどうだっていい」
パンッ、と、乾いた音が響いた。
綱吉は、呆然と奈々を見ていた。(…叩かれた、)
奈々は泣きそうな、でも眉を吊り上げて、綱吉を見据えていた。
「父親のことを尊敬できない息子に、育てた覚えはないわ」
カッ、と、全身が熱くなった。だって、そんなこと言ったって、父さんが戻ってくるわけじゃないのに!
でも口から出た言葉は、全然違うことだった。
「自分の顔、嫌だ、気持ち悪い」
奈々の目が大きく見開かれた。綱吉は目を合わせたまま、言葉を続けた。
「母さんと同じ顔なんて、気持ち悪い」
荷物を持ったまま全力疾走はきつい、と綱吉は思った。
奈々はまだ、さっきのところで立ち止まっているのだろうか。
台所で水を飲みながら、まだ整わぬ息のまま、どうでもいい、と思った。