突然、家の電話がなった。
誰だろう?何かの勧誘とかだろうか。
母さんいないし、と思った後に、奈々の存在を思い出した自分に向けて苦い顔をする。
「はい、沢田です」
『ッ!十代目!俺です!』
「獄寺君!?どうしたの?」
予想外の人物が出てきて驚く。
だが、次の言葉を聞いて、さらに息が止まった。
『お母様が、トラックに、』
ガチャン!と受話器を叩き落した派手な音が綱吉の耳に入ったが、それに構っている余裕はなかった。
慌てて外に飛び出す。
突っかけを履いたせいで走りにくいことに気付くが、足は止まらない。
走りながら、涙が出ていることに綱吉は気付かない。
(オレ、バカだ、ほんとに、ダメなやつだ)
(母さんも、父さんも、何も悪くないのに、)
(オレはそれを、二人のせいにして、逃げて)
(ごめんなさい)
(母さん)
(ごめん)
途中で転んだ。突っかけを両手に持ち、裸足で走る。
道行く人がこちらを見ているのがわかったが、どうでもよかった。
「―――――――――――、かあさん!」