「ツナ!」
「十代目!」
道の真ん中で、二人が目を丸くしてこちらを見ていた。
奈々は地面に座り込んでいる。獄寺はその傍に立っていた。
「怪我は!?」
綱吉が怒鳴ると、二人はさらに目を見開いた。
「やだ、ツナったら、大丈夫よー!さっき、トラックが猛スピードで走ってきて、ちょっとぶつかりそうになったんだけどね」
「十代目のご自宅に伺おうと思って歩いてたら、お母様がいらしたのに気付いたんですが、ちょうどトラックにぶつかるようにみえたもので、
慌てて連絡をしてしまって」
「でも結局腰抜けちゃったのよね、ドジでごめんなさいねぇ〜」
「いえいえ、十代目も来て下さったことですし、ご一緒に帰りましょう!」
なんだかほのぼのした会話をしている二人を見ながら、綱吉は急速に力が抜けていった。
なんだ、
オレは、 てっきり、
もう会えないかもしれないと、
よかった。
「…ツナ!?どうしたの、泣いてるの!?」
「、十代目ええ!どこか怪我でもなさったんですか?!」
「そういえばあんた靴は?なんで裸足なの?」
「あっ本当だ!足大丈夫ですか??」
無視して綱吉は奈々の手を取った。相手はぽかん、とした顔をしている。
「…かえろ、母さん」
「…そうね!」 奈々がにっこりと笑った。
その笑顔が、あまりにも温かかったので、綱吉はつられて微笑んだ。
何がなんだかわからない、でも十代目が微笑んでいる!と、獄寺もニカッと笑った。
帰り道、綱吉は奈々の手を握ったままだった。奈々も何も言わなかった。
獄寺もいたし、少し恥ずかしかったけれど、もしさっきのヤツラに見られて明日学校で冷やかされても、別に気にしない、と思えるくらいには、
気分は落ち着いていた。