俺は十代目にとんでもないカミングアウトをされた。
「オレ、吸血鬼に咬まれた」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・は」
先日、十代目はリボーンさんと二人で修行のためにヨーロッパを周られた。
俺も御供したかったのだが、リボーンさんに素気無く断られ、二週間寂しい思いをした。
数日前帰ってこられた十代目は、どこか精悍な顔つきになられ、俺は右腕としての誓いを新たに決意したものだ。
どうやら、その時に吸血鬼に出くわしたらしい。 俺は一番の疑問を口にした。
「・・・・・・吸血鬼って、本当にいるんですか」
「オレも信じられなかったんだけどね」
どうやら、リボーンさんが意図的に吸血鬼の末裔と引き合わせ、戦わせたらしい。
その際に首筋を噛まれたそうだ。
「まあ、でも今んとこ何ともないし、大丈夫かなあー」
「はあ・・・・」
俺はそんなもんか、と思いながらも、どこか信じられなかったのだろう、その時は流してしまっていたのかもしれない。
「最近さ、沢田って何かあった?」
「ああ?」
俺が睨みつけると、クラスの男数人が怖気づいたように数歩後退した。
「いや、最近の沢田って、何か雰囲気違うなあーと思ってさ」
「雰囲気?」
どういう意味だ?十代目を思わず見る。
窓際の席で頬杖をつきながら空を眺めていらっしゃる。渋い。
「渋いな」
「いや、そうじゃなくて」
「・・・何て言ったらいいのかなあ・・・、こう、アヤシイ感じ、しないか?」
「何言ってんだテメエら?」
いまいち、言いたい事がよく理解出来ない。
「だからー、なんていうか、男相手にこんなこと言うのも・・・」
「色気、っつうの?」
「おお、テメエらにも十代目の素晴らしさがわかるようになってきたか!」
「・・・いや、素晴らしいとかそういうんじゃなくて」
「獄寺に聞いたのが間違いだったかもな・・・」
野郎共は肩を落として去っていく。なんだアイツら?
俺はもう一度、十代目の方を見た。
別に、いつもとお変わりないように見える――
その時、十代目が俺の方を向いた。
光の加減だろうか、瞳の色が一瞬、金色に見えて、ハッとなる。
肌がどこか陶器のように白く、全体の輪郭が細いように思った。
(・・・・・・・十代目って、こんな感じだっけ)
もともと精悍な体つきではなかったように思うが、こんなに『壊れそう』だと思うことは無かった。
「・・・獄寺君?」
大丈夫、と声が聞こえ、覚醒する。
いつの間にか、沢田さんが目の前にいた。
「何か変だよ?」
「す、すいません」
俺の顔が情けなかったのか、十代目がくすりと笑う。
その唇が、いやに紅く見え、思わず瞬いた。
俺は、ふとした時、十代目に目を奪われるようになった。
嘘みたいに白い肌、やけに目立つ唇の色。
そして瞳の色。以前はこんなに明るい色はしていなかった。
(俺は、十代目に、何を)
(「そういう」対象として、見ているのだろうか)
そんな俺に、十代目は気付く事無く過ごされている。
そして、どこか遠くを見るように、彼は中をぼんやりと見詰める。
遠くを見詰めていることが日に日に多くなっているように思えた。
休みの日。
十代目の部屋で、珍しく二人きりだった。
勉強も終わり、他愛もない話をして盛り上がっていたが、ふと沈黙が落ちた。
最近の俺は、十代目の傍にいるとどこか落ち着かないような、離れたいような衝動に囚われてしまい、
このように二人きりになるとなおさらその衝動は強くなっていった。
「ごくでらくん」
十代目が唐突に喋った。否、囁いた。
この空間の中でその声は透き通るように、しかし明確な意思を持ったかのように俺の体の中へと侵入してくる。
俺は本来なら元気よく返事をして何を御所望なのか伺いを立てるのに、なぜか動けなかった。
この場の雰囲気が、何かが俺に動くなと重圧をかけているかのようだ。
十代目はそんな俺にかまわず続ける。
「オレ、・・・・・・・最近、変なんだ」
大丈夫ですか、と思った。思っただけ、声には出していない。
「なんか、ぼーっとすることが多いんだ。でも、何か考えてるわけでもない」
「と言うより、何も考えられないんだ」
「一つだけ」
「とても『喉が渇く』んだ」
十代目が俺に近づいた。 俺は動くことも出来ぬまま、十代目にされるがままだった。
甘い香りが、する。
「獄寺君・・・・・こんなこと、おかしいってわかってるんだけど、獄寺君にしか頼めないんだ」
十代目、そんなに泣きそうな顔をして、一体何がそんなに哀しいのですか。
頬と目元がうっすらと紅く色付く様に、俺は思わずごくりと唾を飲み下した。
彼が、俺の首筋に顔を埋める。息が少し荒い。
鼻づらを押し付け、そこで御自身を落ち着けるかのように、ゆっくりと息を吐いた。
十代目の吐息が俺の首筋にかかった、そう意識しただけで、ずくり、と腰が重くなる。
「もう」
首筋に柔らかいものが当たる。
それは俺の固いそこを挟むようにゆっくりと開かれ、次第に生暖かい粘液の感触がした。
「ああ・・・・・」
やっと巡り合えた愛しい人に囁くかのような甘い吐息を漏らしながら、十代目は俺の首筋を唇で挟み込みながら何度も
舐めた。
深く深く、味わうかのように。
その行為だけで俺はもの凄く下半身を刺激され、十代目を抱きしめる。
びちゃ、びちゃ、と水音が響くこの濃密な空間に俺は酔いしれ、味を占めた。
十代目、と耳元で囁く。
「ごくでらくん、ごめん」
そう十代目が呟いた後、首筋に痛みが走った。
俺は何となくそうなるだろうとどこかで思っていたのかもしれない、不思議と驚きはなかった。
ただ、十代目と同じ位置に立てることができ秘密を共有できることへの喜び、そしてこの狂おしい程に感じる快感に
身を委ねた。
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