「・・・・・・・・・・・・・?」
目を開けると、白い色が見えた。
消毒液の独特の匂いが鼻に突く。
視線だけ横に向けると、獄寺が泣きそうな顔でこちらを見ていた。
「十代目!よかった・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ここは」
「保健室です!十代目、あのまま気を失ってしまって・・・」
あ、そっか。綱吉は、もう殴られたことはどうでもよかった。
不思議と恐怖感はなかった。
「十代目がなかなか戻って来られなかったので、山本と探しに向かったんです。
俺がもっと注意していれば、しっかりしていれば・・・・・・・・・!こんなことには・・・・・・!」
声が震えて掠れていた。
獄寺の顔は俯いて見えないが、綱吉は容易に想像することが出来た。
「獄寺君」
がばっ、と獄寺が顔を上げる。 綱吉は、目を合わせながら微笑んだ。
「獄寺君と山本、来てくれたとき、ほんとに安心した。マジで」
獄寺の目が見開かれた。
「オレさ、二人のこと、ちゃんと守れるように、もっと強くなるね」
今回は、山本が妬まれてのことだった。
そして獄寺も、それなりに目立つ。
二人とも強くてカッコいい、オレの自慢の友達だ。
恨み、妬み、羨望、憧れ。みんなの大きな感情のベクトルが、常に向けられる存在たち。
その分、絶対大変なんだ。
オレは何も出来ないかもしれない。
けど、大切な仲間を守りたい。
「十代目は、十分お強いです」
ぽつりと声が聞こえてきたが、綱吉はスルーした。
「そういえば、山本はもう帰った?」
「いえ、それが・・・・・・・・」
「?」
「実は、十代目が気を失っていらっしゃった間に、さっきのヤツらを追っかけて捕まえて事情を聞いたんです」
「え、よく見つけたね」
「出会い頭にぶつかって、俺達の顔を見て逃げ出したので、すぐにわかりました」
「間抜けだなあ・・・」
(『事情を聞いた』って、もしや何か恐ろしいことしたんじゃないだろうな?)
綱吉は、獄寺のシャツに血がついているのを見つけたが、深く考えないようにした。
「そしたら山本のヤツが、『ちょっと用事行ってくる』ってどっか行きました」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
山本は、知ってしまったのかな。
なぜか山本を恨んでる人がいるってこと。
多分聞いちゃったんだろうな。
綱吉は何だか申し訳ない気持ちになった。
そして、山本は無事帰ってくるだろうか、と不安になった。
「ま、そのうち戻ってくると思います」
「うーん、じゃあ待っていようか」
「それまで二人っきりですね、十代目!」
「え、ソレなんか関係あるの!?」
どっかにおまけがあります。大したもんじゃないです